白炭(ハクタン)の魅力にふれる
去る7月12日、兵庫県豊岡市にあります「神鍋白炭工房(カンナベハクタンコウボウ)株式会社」様に訪問しました。
同社は、地元の神鍋高原の山を愛し、林業を営みながら森林の健全に力を努めていらっしゃいます。そこから間伐して切り出した樹木は、薪や炭、椎茸原木、木工品、サプリメント、薪ストーブの販売等、様々な形にアップサイクルし、「人と自然が元氣になるお仕事」をなされております。
その中から、今回は「白炭」の特徴と魅力についてお伝えしたいと思います。

⚫炭の種類
炭にはいろいろな種類と名前があります。ここでは私が知る限りの情報の一部を紹介します。
- 植物の名前から付けられるケース
・「マングローブ炭」・「竹炭」・「やしがら炭」など
- 人や地方の名前から付けられるケース
・「紀州備長炭(びんちょうたん)」
→紀伊国田辺の商人であります「備中屋長左衛門(びっちゅうや ちょうざえもん)」が、姥目樫(ウバメガシ)という樹木を白炭としてつくられたもの。
・「岩手切炭」
→岩手県でナラ・クヌギなどの樹木を黒炭としてつくられたもの。
- つくりかたの違いによって名前が付けられるケース
黒炭(コクタン)→低温燃焼でつくられた炭(後述)
白炭 (ハクタン)→高温燃焼でつくられた炭(後述)
豆炭(マメタン)→粉状の石炭や木炭などを固めてつくられた炭
成型炭(セイケイタン)→おがくず、もみがらなどを固めてつくられた炭
⚫黒炭と白炭の特徴とつくり方の違い
黒炭と白炭は見た目が似ていますが、一般的な特徴の違いは「火がつきやすく煙が出やすく燃焼時間が短いものが黒炭」、反対に「火がつきにくいものの煙が少なく燃焼時間が長いものが白炭」です。
この違いは、つくり方による違いあるといわれています。
※黒炭
1火入れ
2燃焼・炭化(400~700℃)
3消火・冷却
※白炭
1火入れ
2燃焼・炭化(400~700℃)・精錬(約1000℃)
3消火・冷却
ごく簡単に申し上げますと、製造作業における後半において、「精錬」という高温燃焼作業を行うのが白炭、しないものが黒炭です。この作業を行うことにより、「燃焼ガス」など不純物が取り除かれます。
そして、このガスが抜けることによって固定炭素(炭に含まれる炭素の割合)が高くなります。この数値が高いほど、「火力が強くなり、火持ちが良くなり、煙や匂いが少なくなり、爆(は)ぜにくくなる」そうです。ちなみに、(一社)全国燃料協会の木炭の規格では黒炭の固定炭素は75%以上、白炭は85%以上とされてます。また、高温燃焼により、収縮密度が高くなり、表面積が小さくなります。これらの理由により、白炭は「火がつきにくいものの煙が少なく燃焼時間が長い」特徴があります。
神鍋白炭工房様は、これらの手間を加えた高品質な白炭を、兵庫県但馬地方の森林から精魂込めてつくられております。
品質の良い白炭は叩いてみると「金属音」がします。
※是非、白炭を叩いている動画をご覧ください。
https://youtube.com/shorts/l04__lXE9ds



また、これらのご努力によって、森林における樹木の密度が適切な管理され、健全な状態になります。
日本は国土面積の約3分の2が森林で、さらにその半分が人工林です。
人工林は畑に似ていて、植樹の後に何十年もかけて、適度な伐採等、人の手で管理することにより健全に維持されます。
私は、農業と同様に林業においても「国内生産・国内消費」が推進されることにより、国内だけではなく、海外の森林も健全になってくるのではないかと考えております。
国産の最高級の炭をつくられる神鍋白炭工房様を心から応援いたします。
ありがとうございました。
神鍋白炭工房ホームページ:https://hakutan.net/


