「貯木場(ちょぼくじょう)がある吉野林業」と日本三大人工美林「吉野スギ」を散策しました(令和7年7月9日)
●吉野林業の特徴
奈良県にある近鉄吉野神宮駅の近くには、とてもユニークな町並みが見られます。
それは、まちのあちこちにある製材工場。右を見ても左を見ても工場のあちこちに丸太や材木がならんでいます。製材団地というそうです。
そして、生まれて初めて耳にした言葉が「吉野貯木場(よしのちょぼくじょう)」。
昭和14年、吉野の木に付加価値をつけるために作られたそうです。
ここでは伐採された原木があつまるだけではなく、市場としての「競り(せり)」が行われるといわれています。
吉野の木はスギとヒノキが有名ですが、植林がおこなわれたのは500年前の室町時代。
この地域は降水量が多く、積雪や風害が少ない恵まれた気候です。
吉野の木のこだわりは、「密に苗木を植えて、間伐や枝打ちを多くする」ことです。
これにより「まっすぐで、目が細かく、節がなく、強い強度を持つ吉野材」が出来あがります。
また、吉野スギは、香りの良さから「日本酒の酒樽」として江戸時代から重宝されてきました。






●吉野山・奥千本の吉野スギ
吉野熊野国立公園内にある吉野山は、日本一の桜の山とも言われ、全部で約3万本の桜があるといわれています。
また、7世紀からの山岳宗教の「修験道」として、吉野山から熊野本宮大社までの道(約170㎞)を大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)といい、修験者(山伏)の厳しい修行の場でした。
吉野山は山の麓(ふもと)から、「下千本」「中千本」「上千本」「奥千本」があり、開花の時期もこの順番になっているそうです。
この山は桜だけではなく、杉の木も美しく立派に存在しています。




●まとめ
吉野の修行は1200年前の平安時代から、吉野の林業は500年前の室町時代から続く歴史があります。
吉野地方に限らず、人の歴史の中には樹木の恩恵が多大にあったように思えます。
令和を生きる私たちは、SNSやAIなどのデジタル機器が欠かせないものとなっていますが、今一度、樹木が人々の生活を豊かにしてきた恩恵を見つめ直し、当たり前のことではなく、有難いこととして、感謝をする必要があると思いました。
